Yonezawa City Uesugi Museum
上杉文書の概要と史料調査について
ここでは、当館所蔵の「上杉文書」調査事業について、X(旧Twitter)も活用しながら、調査の様子や進捗、その成果を発信していきます。
(SNSでは#上杉文書調査 で、随時情報を発信しています)
令和4年度には、コレクション展「上杉文書をひらく」を開催し、本調査事業の成果の一部を発信しました。
令和5年度には、常設展示室上杉文華館の「上杉家歴代の文書管理と歴史編纂」において、毎月「上杉文書」も紹介しました。また、上杉文書所収の絵図に関しては、特別展「上杉氏と国絵図の世界」で調査成果の一部を取り上げました。
令和6年度には、特別展「上杉茂憲」において、幕末から明治初期の資料を中心に、調査成果の一部を紹介しました。
江戸幕府老中奉書集
いずれも製本されており
解体を行う。
1 上杉文書の概要
1954年(昭和29)に上杉家から米沢市に譲渡された史料群で、江戸時代の米沢藩の藩政史料が大部分を占めます。主に米沢藩御記録所で作成された記録と、一部に中世史料や林泉文庫(伊佐早謙所蔵本)から編入された史料を含みます。
以前は市立米沢図書館に所蔵されていましたが、1999年(平成11)に米沢市立上杉博物館に移管され、現在は米沢市上杉博物館の所蔵です。
2 調査の目的と期間
旧米沢藩主上杉家に伝来した古文書のうち、「上杉家文書」は、南北朝・室町時代の文書を中心に、近代にいたる2,000点余については目録が刊行され、2001年(平成13)に国宝に指定されています(国宝「上杉家文書」についてはこちら)。
「上杉文書」は、同じく上杉家に伝来した史料群であり、その価値は高く評価され、以前から研究に供されてきました。しかし、詳細な目録は作成、公開されていないため、全点を把握し、歴史的価値を明らかにする必要がありました。
そのため、2021年(令和3)から文化庁の「地域活性化のための特色ある文化財調査・活用事業」の補助を受け、5カ年の計画で史料調査を実施しています。
詳細目録化と課題の整理を行い、史料の適切な保存を図るとともに、調査報告を含めた目録を刊行し、史料を活用した調査研究、展示、「文化財総合データベース」での公開へとつなげていきます。
3 上杉文書の現状と調査
概数は5,062点ですが、今後詳細に分類・目録化すると1万点前後と考えられます。1969年(昭和44)、マイクロフィルム化された際に、概要目録が刊行されています。
しかし詳細目録はなく、マイクロフィルム未収録の資料もあるため、全容は分かっていません。また、原本と写本、編纂物が混在し、巻子化された中世文書、製本された老中奉書・戊辰史料など今後の修理等が必要な史料が多数あり、活用が困難な状態です。
今回の調査では、史料1点ごとに表題、内容、年代、法量、発給関係などを採録し、その伝来や特徴を明らかにしていきます。あわせて、巻子や製本された資料も現状を記録しながら詳細目録を作成し、修理等の方向性を検討していきます。
4 調査体制
事務局は米沢市教育委員会社会教育文化課とし、米沢市上杉博物館を中心に近隣の大学・研究者等と連携して上杉文書調査委員会を立ち上げ、調査を実施しています。
事業主体:米沢市
事務局 :米沢市教育委員会社会教育文化課、米沢市上杉博物館
上杉文書調査委員会(敬称略)
小林 文雄(米沢女子短期大学・近世史)
原 淳一郎(米沢女子短期大学・近世史)
布施 賢治(米沢女子短期大学・近代史)
杉山 恵助(東北芸術工科大学・保存修復)
阿部 浩一(福島大学・中世史)
菅野 正道(元仙台市史編さん室長・中世史)